誘拐・拉致保険:事前知識
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※誘拐保険とは、誘拐に関して生じる損害を補償する保険商品で日本の保険会社では取り扱いがないようです。誘拐をひとつの事件事故と捉えた場合、生命から金品まで様々なリスクが生じます。例えば、犯人の言いなりになることで身柄の開放を図るとすれば、身代金の用意が必要となります。また、ネゴシエーターと呼ばれる誘拐犯人と交渉をする仲介専門家、弁護士などの法律の専門家などに依頼した場合も、支払う費用は莫大なものとなります。さらに、誘拐の被害に遭う危険のある人物が、経済的に裕福であることを前提とした場合、ビジネス機会の損失、会社や家族への心理的負担の軽減など配慮が必要となります。これら誘拐から生じる一切の損害を補償するのが誘拐保険です。
以下、2005年11月に4人の軍上官が拉致された後に行われたイラク・チーム・メンバーによる特別誘拐・拉致対策トレーニングに基づく CPT – 8/06
誘拐 – 生き延びるために最も重要な戦略とは、何が起こるかを事前に知り、心づもりをしておくことだ。
そこで、誘拐の各ステージの一般的なパターンと、それに関するアドバイスを以下に記している。最近の統計によると、計画的誘拐事件の約80%で、被害者が無事解放されている。
これらの事件の解決の糸口は、身代金、救助、犯人の気持ちの変化などであるが、誘拐事件でのゴールは、被害者が解放されるまで生き延びることである。
I. 拉致ステージ:
A.最も危険をはらんでいるステージである。このステージでは、混乱や困惑が生じる。ここでの誘拐犯の目的は、被害者に恐怖心を抱かせることだ。犯人は怒鳴ったり、ののしったり、腕力を使ったりする。
B.このステージで逃走することは非常に危険である。あなたの逃走に気づき、犯人が銃を発砲するまでの時間は、わずか3~5秒しかない。もし、そこで混乱や困惑が生じており、それにまぎれて、この最初の3~5秒の間に逃げ出すチャンスが有るようならば、逃走することを考えても良いだろう。しかし、その判断は、即座に下されなければならないし、一度決めたら、ためらってはならない。リスクは多大であることを頭に入れておいてほしい。中途半端に逃走を試みると、結果、状況は悪化してしまう。誘拐犯は、彼らにとって、ベストな誘拐場所、タイミングを選んでいる。
C.アマチュアの誘拐犯と、プロの誘拐犯は、かれらの行動に一貫性があるかどうかで判別できる。
D.「すべきこと」と「してはならないこと」
1.抵抗しない。
2.言い争わない。
3.攻撃的な行動はしない。
4.犯人と会話しようとしない。
5.犯人と目を合わせるのは必要最小限にする。かといって、完全に目を合わせないようにしてはならない。
6.他の人質とコミュニケーションをとらない。
7.リーダーシップをとらない。人質達をコントロールしているとみなされ、殺される恐れがある。
E.以下、観察、把握、記憶する。
1.実際、何が起こっているか
2.状況
3.事の流れ
4.誘拐犯の服装、武器、靴
5.車が向かっている大まかな方向と、運転の時間
6.地形
7.誘拐犯の声
F.以下、賢明な行動。
1.服従する。
2.質問には即答し、礼儀正しくする。答えるときは必要最小限にする。
3.うそをつかない。
4.外見は従順であるが、内面は常に強い意思を持ち続ける。
5.独り言を言ったり、祈りを捧げたりする。
II. 脅迫のステージ:
A.このステージでは、誘拐犯は、人質を従順にさせ、反撃や逃走を防ぐため、迅速に人質を完全支配下に置こうとする。
B.人質は目隠し、またはフードを付けられたり、薬物を使われたりすることがある。
C.犯人は、暴力的、残忍になりうる。あなたに対して大声でどなったり、命令したり、暴力をふるったり、拷問や性的暴行、殺害することもある。
D.一般的には、このような虐待に耐えるのが一番良いとされている。あなたを完全にコントロールできるようになったと犯人が信じれば、虐待されなくなる。これは、あなたを生かしておくほうが、彼らにとっては価値があるからだ。しかし、各自、それぞれの威厳や超えられない一線があるので、耐えられないこともあるだろうし、生き延びることだけが、ゴールではないかもしれない。あなた自身の一線とは、どこにあるだろうか。
III. 管理ステージ:
A.この段階でも、まだ誘拐犯は緊張しており、引き続きあなたを支配下に置こうとする。長期間、拘束され、水/食事/トイレ/医療ケアも与えられないこともありうる。
B.人質は、内面の尊厳や意思の強さを保ちつつも、外見では従順でなければならない。反抗すれば、ひどい罰を受けかねない。あちこち移動させられて、その都度、感情も激変するだろうが、それに耐えるよう心づもりをしておくこと。長い試練、極度な退屈、希望と絶望を繰り返す感情のローラーコースター、純然たる恐怖の時が来るのを覚悟しておかねばならない。
C.また、他人を傷つけることを強要された人は、誘拐の経験から立ち直るためには、より長い時間がかかるという。
D.「グレー・パーソン」になる。
1.目立たないようにし、命令に従い、まわりに溶け込む。
2.目立たないようにするため、強すぎたり攻撃的すぎたり、逆に弱すぎたり従順すぎたりしない。
3.誘拐犯は、人質の中のリーダー的人物を虐待する傾向にある。
4.「巣」のような場所、安心できるスペースを作る。
E.信頼: 犯人から信頼を得られれば、備品等をリクエストできることがある(歯ブラシ、くし、聖書、ノートなど)。もし、犯人が駄目だと言っても、その後、譲歩してくれるようならば、駄目だと言うのは、ただの脅しである。誘拐犯の気持ちが読めるようになれば、あなたは少しばかりではあるが、以前よりは力を持てるようになる。
F.後悔: あの時ああすれば良かったなどと、自分自身を責めない。うつ状態になるだけだ。
G.あなたは生きているし、神に愛されている。悪状況ではあるが、最善をつくすこと。
H.希望: あなたは、ひとりではない。神があなたと共にいる。あなたの家族、友人、同僚達も、あなたが解放されるよう、共に最善を尽くしてくれている。
I.ルーチン: 早い段階でルーチンを作り、それを守ること。
1.正気: ストーリー、ゲーム、祈りなどで正気を保つ。時間の経過を把握する。
2.身体: 定期的にできるだけ運動し、健康、自意識を保ち、ストレス発散する。
3.食事: きちんと食事は取り、体力を保つ。
4.衛生: 外見を整え、希望や自尊心を持ち続ける。こうすることで、誘拐犯からも人間として尊重してもらえる。
5.精神: ネガティブなプレッシャーを意識しながらも、うまく乗り切る。絶望的にならないよう、ポジティブでいる。
6.スペース: できる限り、自分のスペースを管理する(家事仕事、ベッドや家具のアレンジなど)
J.誘拐犯達とのコミュニケーション: 家族のことや、平和的解決に尽力してきたこと、自分が人間として何を求めているか等、微笑みやジェスチャーを交えながら、そして相手の話を聞いたり、うなずいたりしながら誘拐犯達と話をする。犯人に対し、あなたが彼らと同じ人間であると認識させるのだ。この項目は、前述Bの「グレー・パーソンになる」というアドバイスと矛盾しているが、バランスよく振舞うことが必要だ。
K.他の人質達とのコミュニケーション: 人質が二人だけで話していると、誘拐犯に怪しがられることもある。誘拐犯と問題が起こった際は、可能であれば、すぐに話し合う。不信感を抱かれずに済むだろう。人質同士で共に協力しあい、お互いに思いやり、生きるために愛情を持って必要なことをすることだ。
L.トリック: 誘拐犯の中には、人質同士で不信感を持たせて分裂させるため、人質の中から1人を選んで秘密を教えたり、何かの形で特権を与えたりする。このような場合、「(よくあるパターンは)お前は解放してやる」と言われるかもしれない。これは、マインドゲームで、従順にさせておくためのトリックだ。
M.持続期間: この試練が長期化することを覚悟しておく。こうすることで、精神的に正気を保ちやすい。解放までの日数を指折り数えて心待ちにしない(時間の経過を記録するために、日数を数えるのは良い)。今のことだけを考える。ちょっとしたことでも自分で管理、コントロールする方法を常に模索していれば、無力感にさいなまれたり、完全に犠牲者意識を持ったりしなくてすむ。
N.忍耐: 虐待、行動制限、空腹、ストレスに耐えなければならないことも多いかもしれない。人間の体と心は、生き延びるための能力を備えている。
IV. 解放ステージ:
A.解放の方法としては、2種類ある。
1.交渉によるもの
2.解放作戦によるもの: 他人が介入して人質を解放するのは、非常に危険である。混乱が生じ、武器も使用される。救助者は、初期段階では誰が誘拐犯で誰が人質かは判別できない。以下に従い、自分の身を守ること。
a.地面に伏せる。
b.可能であれば、隠れる。
c.突入しきた救助者に、最初は荒々しく扱われるかもしれないと覚悟しておく。
d.急に動かない。
e.武器を拾わない。逆に撃たれてしまう。
f.混乱が比較的無い時には、「助けて」や「ここです」と声を上げる。
B.逃走: 専門家は、一般的に、逃走については否定的である。
1.もし、誰かが逃走したら、他の人質はひどい虐待を受けるおそれがある。
2.もし、あなたが逃走したら、新たな試練に直面することになる。
3.覚えておいてほしいのは、人質事件の80%は、解放されている。残りの20%が殺害されている。生き延びることを考える。
C.チーム討議のための質問:
1.抵抗する?
2.逃走を試みる? 一人で?グループで?
3.状態が悪化している人質をどのように助ける?
4.レイプに抵抗する?しない?
V. 予防策
A.誘拐には2つのタイプがある。
1.衝動的誘拐 – 誘拐には不適切な場所と時間(例: 強盗時など)犯人には、計画も無く、協力者もいない事が多い。自暴自棄になって暴力的になることもあり、その後の結末が予測不可能。
2.計画的誘拐 – 誘拐犯は、拉致前に、1週間ほどあなたを監視する。誘拐犯は、自分にとって最も安全で、あなたにとって一番動きがとれない場所を選ぶ。
B.誘拐のリスクを最小限におさえるためのアドバイス:
1.平和的解決に尽力する人物だと周囲の人々に分かってもらう。
2.いつも移動ルートやルーチンを同じにしない。
3.いつも同じ外見にしない。
4.自分をつけまわしている人や車がいないか探し、いた場合は記憶しておく。
5.自分をつけている車と、その車に乗っている人を確認する。
6.自分をつけている車がいるようならば、3回突然、角を曲がってみて、それでもつけてくるかどうかを確認する。
7.つけられているならば、目的地または「安全な逃げ場所」に向かう。
8.すぐわき道に入ることができるので、カーブに一番近い場所を運転する。
9.ドライバーと以上の項目について話し合っておく。
10.手順を書き記しておく。
11.状況によっては、その地区で武装したグループに、自分が平和的解決に尽力する人間だと知ってもらうことが、自らの身を守る対策となりうる。
C.チーム討議のための質問:
1.どのように、いつ、人と会う約束をするか。
2.だれかに後をつけられた時、あなたにとっての「安全な逃げ場所」とは?
なお、誘拐・拉致からの解放、脱出方法はケースバイケースであり、必ずしも、上記の内容がすべて活用できるとは限らないが、部分的にでも活用し、無事に無傷で解放されて、日常生活に戻ることを願う。防災もそうだが、すべて、1つの要因から始まることが多いため、自分、家族、会社がチームになって予防することを意識することが重要である。
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一般社団法人 日本防災教育訓練センター
代表理事 サニー 神谷
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