車両暴走による無差別大量テロについて
海外で近年増えている、車両暴走による無差別大量テロ(ラミング・アタック・テロ)は、観光客で賑わう目抜き通りをワゴン車やトラックで猛スピードで走り抜けながら、歩いていた人を次々とはね飛ばし、歩行者や自転車に乗った人たちが次々に宙を舞っては地面へ叩きつけたり、また、犯人はバリケードや建物等に衝突して車が動かなくなった場合、車両から降りてきて、近くに居る人々を持参した数本のナイフで、次々に刺していくパターンが多い。
https://www.youtube.com/watch?v=pVkD7c2D6H0
RAW VIDEO – Car drives into protesters in Charlottesville, Virginia Terror Attack
/出典:Youtube
■↓いつでもどこでも起こりえる「ラミング・アタック・テロ」とは
ラマダン明けまで要注意
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3109
今回は、私がセキュリティーマネージャーを務める、世界最大の警備会社G4Sの車両暴走による無差別大量テロについての資料の一部を抜粋し、日本国内において活用できそうな内容をご紹介します。
■↓Vehicular Terrorism:The Threat Behind the Wheel
https://irescue.jp/PDF/Vehicular_Terrorism_The_Threat_Behind_the_Wheel.pdf
■↓G4S Japan
http://www.g4s.jpn.com
G4Sの世界総従業警備員数58万人、世界100カ国に事業所を置く。
海外ばかりで無く、車両暴走による殺傷事件は過去 日本国内においても何度も起こっており、比較的簡単に行えてしまうのが脅威となっています。
今回は車両暴走による無差別大量テロについて考察いたします。
一般的な安全対策
車両を使ったテロ、特にトラックやバスを使ったテロ攻撃を食い止めるのは、たやすいことではありません。2016年12月、テロが発生した際、ドイツのエッセンにある危機予防研究所(IFUS)の所長は、以下のように述べています。
「過激な思想を持つテロ組織の狂信者、または、洗脳された若者が、トラック等の大型車両を武器として使う場合、事前に私達が、SNS上等の情報でその人物とその計画が分かっていて犯人が行動に出る前に逮捕できない限り、手の打ちようがありません。そして、安全のために、EUにあるすべての車両を点検したり、すべてのクリスマスマーケットを封鎖したりするのは不可能なので、クリスマスマーケットを中止しなければならなくなります。このようなテロ攻撃は、100%予防できるというものではありません。」
テロを疑う兆候(サイン)
テロを疑う兆候が1つだけならば、怪しいとは思わないかもしれませんが、サインが複数になってくると、車両を使ったテロ攻撃の計画を疑うことができます。車両を使った体当たり攻撃は、ほとんど、または、まったく警戒されずに実行に移すことができます。考えられる怪しい兆候としては、以下のとおりです。
●商用車両、重機、乗用車、SUVに通常ではみられないような改造がされている。例えば、金属の衝撃吸収プレートを車両の前部に自分で取り付けて、車を補強しているような場合。
●購入/レンタルしたり、盗んだSUVやトラック、商用モーター車などの大型車両または重機など。もし、このような車両の購入時に、挙動不審な様子が見られたり、現金で支払ったり、その車について知識がないようであれば、怪しいサインである。
●商用車または重機が、通常では見られない時間帯や場所、観光地や歩行者天国など特に歩行者が多い場所で、慣れない様子で走っている場合。
●ストリート・フェスティバルやファーマーズ・マーケットなど、、繁華街でのイベント時で、いつもは車が通っていてもイベントのために車の通行が禁止されている地区へ侵入しようとしている場合。
●車の運転手が明らかに商用車または重機の操作を分かっていない場合(後退ができない、シフト・チェンジに苦労する、車線維持(レーン・トラッキング)が下手、エア・ブレーキの操作、スラック・アジャスター、第五輪の操作、圧縮解放ブレーキ、エンジン・タイプ、消火器やその他の緊急装置の場所など、基本的な車のメカニズムを分かっていないなど)。
受動的な対策
車両
例えば、大型車両を道路に対して横向きに並べて、パレードのルートやイベント・エリアで道を封鎖することができます。非常に柔軟に対応できるソリューションで、道路を封鎖する時も、道路封鎖を解くときも、直前に通達すればよく、素早く対応できます。
また、立入りを認可されている車両や緊急時のアクセスも簡単に確保できます。道路封鎖の用途には、ゴミ収集車、砂を運ぶ車両、工事車両などの大型車両の予備車などを使うと良いでしょう。一定の任期を過ぎて一線から外れた大型車両をバリケード用として再利用することも可能かもしれません。
一時的なイベントでは、法的許可を得て大型発電機、鉱石運搬車、移動クレーン、フォークリフトなどの重機などを配置すれば、車重があるため、衝突時、勢いをつけて突っ込んでくる車のスピードを落とすこともでき、暴走車の防御をすることもできます。
バリケード
バリケードがどのくらいの衝突に耐えられるかは、突っ込んでくる車両のタイプ、スピード、そしてその他の要素によって変わってきます。このような要素を理解することで、それぞれ特有の懸念事項に対応するため、関係団体が一番適切なタイプのバリケードを選択すると良いでしょう。
Modular vehicle barrier stop terror vehicle 出典:Youtube
個人所有が可能な車両用バリケード(AVB)も購入できるものがありますし、可能であれば短期公共サービス用として広告付きにして寄付してもらうことも一つのアイデアです。
歩道用バリケードまたは建築用フェンスを使用すれば、突っ込んでくる車両のスピードを下げる事はできますが、完全に暴走車を止める事は期待できません。しかし、ソフトなバリケードしか手に入らない場合であっても、使わないよりも使うほうが賢明です。
車両用バリケード(AVB: Active Vehicle Barrier)に本質的に、静止タイプと操作可能タイプの2つのカテゴリーに分けられています。
■↓Guide to Active Vehicle Barrier (AVB) Specification and Selection Resources
https://www.dhs.gov/sites/default/files/publications/Guide-to-Active-Vehicle-Barrier-2014-508.pdf
●静止バリケードは、FEMA430で定義されている「固定式バリケード」と同等のものですが、全く同じではなく、車両の進入を防ぐ目的で地面または基礎に固定して使います。車両の衝突レベルが許容範囲以内であれば、このタイプのバリケードは動いたり、変形することはありません。
●操作可能バリケードは、何かに固定されているものでなく、認可を受けた車両が通る際には、必要に応じてコントローラーで手動により動かすことができるタイプです。
操作可能バリケードには、バータイプのバリケードやウェッジ・バリケードがあります。通常、操作可能パリアを動かすには、油圧または電力設備が必要で、全体的な設計や設置(持ち上げる位置)が、静止バリケードよりもより複雑です。
操作可能バリケードは、設置するのに、かなりの時間と費用、そして特別なメンテナンスが必要になります。この特徴のせいで、定期的に開催されるイベントや、パレードのルートなど、多くの活動には向きません。どちらかというと大使館や国会議事堂、軍の施設、刑務所など、特定公共施設の入り口などに設置します。
しかし、可動式/静止バリケードと併用して、そのようなイベントで車両の立入りをブロックすることもできます。突入攻撃してくる暴走車両でのラミングアタックに対して、最も効果的な2つの操作可能パリアは、ウェッジ・タイプと、ボラード(防護柱)タイプです。
特定のエリアを一番効果的に防御できるよう、これらのバリケードの高さ、長さを調整して設置し、組み合わせると良いでしょう。
また、操作可能バリケードは、交通整理、施設の警備、常に歩行者がいる場所、集会がある場所など、決まった場所で使用するには、最適です。例えば、スタジアム、公園、広場など多くの人でにぎわうイベントが常に開催されている場所に適しています。
ジャージー・バリケード
ジャージー・バリケード(Kレール)は、素早くそして一時的に安全を確保する際、一般的な交通整理によく使われているタイプのバリケードです。元々は、ハイウェイの車線を分離させるため、ニュージャージー州のハイウェイ部門が開発したものです。
コンクリート製のジャージー・バリケードは、高速道路での衝突事故の際、反対車線側に車が突っ込んでしまう危険性を低減し、ダメージを最小限に抑えるためのもので、元々のバリケードの形は、約1mの高さになっています。
常設のスロープ・バリケード、F型バリケード、カリフォルニアのKレールなどをベースに形を変えたものもあります。簡単に設置でき、可動式で、効率も良いジャージー・バリケードは、テロ防止対策にも応用できます。
米軍は、イラクで公共インフラや検問所の防御を強固なものにするため、このジャージー・バリケードを高くしたものを、幅広く使っています。また、2001年9月11日のテロやオクラホマ・シティの爆弾事件以降、アメリカ国内でも、ワシントンDCのワシントン記念塔、シカゴのウィリス・タワー、ロサンゼルスのダウンタウンにあるライブラリー・タワーなどの連邦建物や記念碑に車両が近づかないよう、ジャージー・バリケードは施設のセキュリティ・バリケードとして使われています。
ジャージー・バリケードの利点は、以下のとおりです。
●コンクリートの大きな塊で、素早く衝突してくる車両から守ることが可能。
●斜めからの車の衝突もかわすことが可能。
●車の前部が持ち上がり車台部分を固定することで、動的エネルギーを低減可能。
●長く続いている壁に簡単に設置可能。また、スチール・フェンスのような他のタイプのバリケードと併用が可能。
●一時的な防御、もしくは永久的な防御目的のどちらでも、臨機応変に設置が可能。
ジャージー・バリケードの短所は、元々、このバリケードが設計された用途に関係しています。
それは、突っ込んでくる車の動きを完全に止めたり、ダメージを与えるというよりは、車をかわすということにあります。ジャージー・バリケードは、大型トラックなどの衝突を直接受けた場合、テロ攻撃への防御としては、以下のような理由から、通常、高い基準(DoS K12)には適合していません。
●バリケードの高さが十分でない。
●地面への固定が、比較的弱い。
●車の前方下部が斜めになることで、トラックの荷台部分が持ち上がる。
ジャージー・バリケード(Kレール)やF型バリケードのような形のバリケードは、衝突時、ドライバーにかかる衝撃エネルギーを弱めるように設計されており、高速で走ってくる車を止めるとは限りません。
偶発的に接触した場合、車のダメージを最小限におさえつつ、反対車線に入り、正面衝突するのを防ぐことができます。このようなバリケードは、もっと深刻な衝突事故にならないように、車の方向を変える、速度を落とす、または車を止めることを目的に設計されています。F型バリケードは、バリケード設計のパラメーターを分析する研究調査から付けられた名前です。つまり、バリケード構造はAからFまでラベル付けされており、Fというのが最高性能設計となっています。
衝突にも耐えられるコンクリート製のバリケードは、その形、高さの種類によって、衝突性能が変わってきます。最も一般的なものは、約82〜110cmのものです。米軍は、1983年ベイルートでおこったトラック爆弾攻撃後、このバリケードを軍が設置することが多くなり、「カダフィ・ブロック」というニックネームを付けていました。
これらの標準的なバリケードは、道路面から約8cmまでは垂直で、それより上は斜めになっており、そこからバリケードの上部は、ほぼ垂直になっています。全体の高さは、道路面から約82cm以上です。ジャージー・バリケードは、最も幅広く使用されている安全型のコンクリート製バリケードです。
ジャージー・バリケードとF型バリケードの唯一の違いは、地面から、斜面になっている部分までの長さで、ジャージー・バリケードは約33cm、F型バリケードは約25cmとなっています。高速で車が衝突した際、ジャージー・バリケードのほうが、F型バリケードよりも小型車が横転する確率が高くなります。
F型バリケードは、衝突時に小型車が、できるだけ横転しないように特別に設計されています。F型パリアは、道路面からは約8cm垂直にせりあがっており、そこからは、約25cmの高さまで斜めの面になって、またそこからは、バリケードの一番上まで、ほぼ垂直になっています。
ジャージー型デザインをF型デザインにするには、少しだけ改造すればよいので、軽車両の安全性を考え、アスファルトの再舗装の時に、ジャージー型のバリケードをF型のようなバリケードにすることができます。しかし、アスファルトの層を増やすことで、バリケードの高さが低くなるので、より大型の車に対しての効果を減らしてしまいます。
新しいタイプのバリケードは、耐衝撃性に優れた中が空洞のポリエステル製バリケードで、携帯性を考え、短期使用を目的として開発されました。このプラスチック・バリケードは、設置後、水を入れて、弱すぎず強すぎない中程度の耐衝撃性を備えることができます。このタイプのバリケードは、衝突してくる車をかわすために設計されてはいませんので、車両がバリケードを突き抜くこともあります。このタイプのバリケードは、土や木くず、コンクリートなどを詰めて、耐衝撃性をアップさせることもできますが、携帯性は低くなります。
複数のジャージー・バリケードを互い違いに障害物となる壁の近くに配置すると、突っ込んでくる車のスピードを下げる事かでき、車がバリケードを突き抜くリスクも低くなります。しかし、実際に利用できる設置面積よりも広い面積が必要になります。幅広い範囲で複数のバリケードを互い違いに配置するか、ジグザグの形で配置すると、車は蛇行せざるを得なくなり、45-90度の角度でターンしなければならなくなります。その結果、車のスピードを下げることができます。
下記のように90-180度のS字型の「シケイン(S字型クランク)」にすれば、さらに車のスピードを下げることができます。
能動的な対策
技術監視
AVB(車両用バリケード)の計画と併せて、民間、公共、警察筋の監視カメラと防犯ビデオを使って、イベント開催場所を監視するのが良いでしょう。
死角になっている場所については、事前にきちんと特定し、追加で技術的な設備を準備し、その他の対策を講じてください。イベントの前、およびイベントの最中の撮影画像の監視および取り扱いについては、警察、ビジネス、民間セキュリティ会社との調整をおこなってください。
イベント前に監視するのは大事で、犯人による監視、ルート偵察、テロ攻撃のリハーサルを見極め、特定することができます。テロ事件発生後は、迅速かつ正確に、これらすべての画像を確認、処理することが、犯人特定および事件管理には欠かせません。
直接的な対応
車両を使った攻撃は、一度始まってしまったら止める事はほぼ不可能です。警備担当者は、犯人を止める計画をたてておいてください。警備隊および警察は、このようなタイプの攻撃に対する直接的な対応にそなえて、既存のトレーニング、戦略、手順の見直しをしておいてください。
その対応のシナリオを計画する際は、爆発物処理、車両の横および上部からの乗り込み、直線状にいるターゲットの破壊および攻撃、支援射撃、動的命令および制御も含めるようにしてください。ドライバーは、自分に与えられた使命を果たそうと、心理的にも死ぬ覚悟をしているはずです。そのような犯人がいたら、すぐに警備隊は犯人を殺害する心づもりをしておかなくてはなりません。
また、ドライバーが死んだり動けなくなったりしても、車はそのまま歩道を走り続ける恐れもあります。対応計画には、車の乗り入れルートに沿って、十分な数の強化バリケードと大型車も併せたAVB(車両用バリケード)の導入も検討しておいてください。
また、その他の車も戦略的に前もって配置しておくことで、さらにルートをブロックでき、攻撃を加えている車両を群衆から遠ざけ、警察が車とドライバーを殺傷するゾーンに追い込むことができます。訓練を受けたスナイパーと警察は、主要ルートと全体のエリアを監視する範囲の人員配置について確認しておくようにしてください。
50口径BMGライフルなどの大型銃を使って、攻撃している車両を攻撃してください。犯人の車両が停止しても、犯人が死亡していない場合は、犯人が少しでもより多くの人を殺傷しようと、銃、刃物、または爆発物などで、二次的な攻撃をしかけてくる場合があります。このようなケースも考えた計画もたてておいてください。また、特に秘密活動をおこなうテロ組織が絡んでいる場合には、二次的な攻撃が計画されていることがあります。
安全面での推奨事項
テロの形は、2001年9月11日から変わっています。アルカイダやISILは、必要に迫られて戦略を変えてきました。そして、ジハード戦士を集めるため、実際、ありとあらゆる才能を持つ人達に近づきました。中東や北アフリカなどの紛争地域の戦闘員を集めるだけでなく、世界中にその活動を広げ、以前、自分たちが拒絶された地域に戦争をもたらし、心理的な戦争宣伝活動をおこなっています。グローバルなイスラム原理主義では、現在、テロは事実上、個人的なものになりつつあります。
この新しいテロのスタイルでは、制限があまりなく、供給源が確保できて環境が許せばどこでも小さい集団が形成できるのです。テクノロジーにより、活発な武装勢力が、それぞれテロ促進者となり、人々をテロへの道へ誘い込み、スパイ活動に必要なノウハウや戦術を指導しています。
また、政治的に弱い立場の人だということで、人道的な理由だけで、素性を調査、評価されることなく西側諸国に入国してくる過激派もいます。このように、現代のテロリストは、2016年12月と7月にニースとベルリンで起こったトラックを使ったテロリストのように、見つけにくいのです。閉鎖的なコミュニティに隠れ、個人の供給源を使い、予期せぬ方法で攻撃し、社会に紛れ込もうとするのです。
しかし、思想が過激化して、テロを起こす気にさせられ、望む望まないに関係なく、特に熱望していないとしても、殉死することは喜んで受け入れるようになるのです。このように、テロリスト達の戦いの前線に市民を立たせていきます。この新しいテロのスタイルに立ち向かうため、以下の基本的な安全対策を考慮にいれることをお薦めします。
●大型車両にアクセスできるドライバーや従業員の採用時、犯罪履歴をはじめ、すべての素性とソーシャル・メディアやブログの書き込み内容のチェックをおこなってください。過激な発言がある場合は、採用しないことが賢明です。
●一般市民は、献身的なテロ攻撃犯の心理の基本的な部分を理解している必要があります。特にイスラム過激派のテロ犯人は、自爆死など、テロ達成後に死ぬ心づもりをしていること、もしくは死ぬことを喜んでいます。
●車両でのテロは、いつでも準備ができます。人が集まる場所へ車で進入することも簡単にできるため、いつでも実行可能です。企業や一般市民は、まわりの状況に常に気を配っておきましょう。特に、トラックやバスの動きを注意してみておいてください。スケジュールやルートが突然変わっている場合は、怪しいと思ってください。
●荷役作業環境下で、仲間を呼んで爆弾を積載する事があります。複数の部外者とドライバーが外部から持ち込まれたものを積み込んでいるときにはすぐに輸送コントロールセンターに通報して下さい。
●会社では、緊急時の安全計画の見直しをしてください。多くの会社で、主な事業の一部として、物品の供給配送のために会社で保有している車両を使っています。ニースやベルリンで起こったテロ攻撃のことを考えると、すべてのサイズの車のセキュリティと車の運転手の安全を考える必要があります。
●会社の危機管理担当者は、関係他社との情報共有や地域の安全/セキュリティ対策を公的機関と調整しておき、事件に備え、犯罪や怪しい活動から自らを守ることが必要です。
●会社では、社用車を運転する人の身元と、その身元書類を確認し、適宜、E-Verify(就労者ステータスチェックシステム)で確認してください。また、会社は、定期的に更新する企業安全オリエンテーションの一部として、すべてのドライバーを対象とした安全状況を確認をしてください。
●すべての車両は安全かつ明るい場所に駐車してください。できれば、駐車場は道路から離れ、許可を受けたトラック駐車場に停めて下さい。車から離れる時は、車と積荷は荷物積載部分も含めて、しっかりと施錠しておいてください。運転室は常に施錠し、貴重品や書類は見えない場所に置いてください。
●輸送ルートはすべてリスク評価をおこない、いつも一番危険性が低いルートを選んでください。
●地理的境界線機能で、車が走るルートを事前に設定しておきます。指定ルートから車が外れた場合は、監視センターで警告が出されように設定しておきましょう。
●万が一、盗まれたときのため、車には、GPS追跡装置を隠してつけておきましょう。
●車には、車両外部に非常事態を知らせる、緊急信号装置を付けておきましょう。
●ドライバーと通信するためのGPS、通信機器、監視センターがドライバーと通信するための機能などのポリシーや計画が必要です。
●GPS/安全監視センターで、装置を遠隔操作して停止できるようにしておきましょう。
●トラックの駐車エリアと、荷物を載せていないトラック/トレイラーを監視し、誤配車できないようにしておきましょう。
●大型車および/またはトラックを使っている会社(車のレンタル会社を含む)は、以下の安全基準を適用することを検討してください。
-輸送資産保全協会(TAPA: Transported Asset Protection Association)
-認定事業者(AEO: Authorized Economic Operator)
-テロ行為防止のための税関産業界提携プログラム(C-PAT)
-ISO 28000
これらは、輸送運搬用の基準で、テロの脅威を認識しておくものです。
車両テロの現場に遭遇したら
●まわりの歩行者に急いで警告し、できるだけ早く警察に知らせてください。
●至急、車の走行ルートから離れてください。適切な方向に逃げ、ビル、気、街灯、消火栓、ごみ箱などの陰に隠れてください。
●群衆の流れに沿って走らないでください。テロ攻撃をしている車は、大きなグループをターゲットにしています。
●「安全確保完了」と言われるまで、安全な場所にいてください。テロリストのドライバーは、動かなくなった車を捨てて、武器を使った攻撃に出るおそれがあります。
●もし、自分が助かった場合、可能であれば、倒れている人たちへ、緊急医療ケアを行って下さい。
以下、さまざまなバリケードの種類:
1、恒久的「(地面)埋め込み」傾斜型の車両用バリケード。チェーンで補強。
説明: バリケード・システムこのタイプの傾斜型システムの重量は、1.5t~55tで、道路の表面と面一に取りつけるか、一段高く取り付ける。
傾斜型バリケード・システムは、手動または自動で昇降できる。(アクセスが許可されると、コンピューター制御により、電気/油圧システムで動く)
用途:外部境界バリケード。認可されていない車両を停止させる、および/または動かなくさせる。
高さと長さ: 幅 1~7m30cm 高さ90cmまで
構造(素材): 鉄
2、傾斜型車両用バリケード(チェーンで補強)
説明: 敵の方向に対して、27度の角度で持ち上がっている。一時的または恒久的に勾配をつけて設置。この傾斜型システムの重量は、2500~12000ポンド。傾斜型バリケード・システムは、手動または自動で昇降できる。(アクセスが許可されると、コンピューター制御により、電気/油圧システムで動く)
用途:外部境界バリケード。認可されていない車両を停止させる、および/または動かなくさせる。
高さと長さ:幅: 1~7m30cm高さ:90cmまで
構造(素材): 鉄
3、プランター型セキュリティバリケード
説明: コンクリートの「外郭構造」で、さらに重みで強固にするため、土を入れておく。
用途:車の侵入を防ぎ、歩道、フェンス、警備ブース、重要施設を防御。他のバリケードの周りを運転できないようにする。車の誘導または、歩行者の流れをコントロールできる。
用途や構造的な脆弱性に応じて、高さと重さは変わる。
構造(素材): 鉄筋コンクリートの外郭構造
4、鉄製「突起型」バリケード
説明: 衝撃を受けると、後ろ方向に倒れ、車の下側を突起で突き刺すよう設計されている。その後、強力な摩擦アンカーとして働く。
用途:必要な場所に設置できる。少し低い位置に取り付けてコンクリートで埋め戻す。バリケードは繋ぎ合わせる事ができ、長さを延長できる。
高さ: 約76cm〜106cm
長さ: 25〜30cm
構造(素材): 鉄
5、コンクリートまたは鉄の保護柱
説明: 垂直に設置されている金属製(鉄製がこのましい)「クラッシュ・チューブ(衝突管)」で、下部は地中に埋められている。軍用および商用で幅広く使用されている。
用途:車の侵入を防ぎ、歩道、フェンス、警備ブース、重要施設を防御。他のバリケードの周りを運転できないようにする。車の誘導または、歩行者の流れをコントロールできる。
高さ: 45〜152cm、もしくはそれ以上。
直径: 用途によって異なる。通常20cm〜106cm。
構造(素材):鉄製。内部もすべて鉄の場合と、中は空洞になっていてコンクリートで強化されているタイプがある。
6、恒久的に設置された石灰殻コンクリート/コンクリート・ブロック、もしくは、煉瓦の壁型のバリケード
説明: 垂直に建設されており、コンクリート/石灰殻コンクリート・プロックまたは煉瓦の壁が設置されている。
用途:セキュリティ・ゾーンの周りもしくは、保護が必要な重要資産の周りに設置されている。
高さと重さは、用途および、構造の脆弱性によって異なる。
構造(素材):コンクリート、石灰殻/コンクリート・ブロックまたは煉瓦
7、油圧展開式の金属製保護柱
説明: 地中に垂直に設置してある「クラッシュ・チューブ(衝突管)」。作動すると、チューブの一部が地面から出て、下部は地中に入り込む。軍用、商用で幅広く使われている。
用途:車の侵入を防ぎ、歩道、フェンス、警備ブース、重要施設を防御。他のバリケードの周りを運転できないようにする。車の誘導または、歩行者の流れをコントロールできる。
高さ: 45cm〜91cm、またはそれ以上。
直径: 用途に応じて異なる。通常は、30~61cm
構造(素材):チューブ状の鉄(内部もすべて鉄製)のものを入れて、強度をあげることもできる。
8、交通管理具
(「タイヤ・ティース」)
説明: 鉄製のティース(歯)で、車のタイヤを切り裂くことができる。鉄製のティースには、ばねが取りつけられ、一定方向に車が動く場合は安全に通行できるタイプと、歯が格納可能で、両方向に車が動くことが可能なタイプがある。
用途:車が逆走するのを防ぐ(駐車場などに使われる)。また、車が警備ポイントを突破しようとすれば、タイヤをパンクさせることができる。
高さ: 約3cm幅で、10cm長さの歯が使われている。
いかがでしたでしたか?
日本でもすでにさまざまな車両バリケードがありますが、このG4Sの資料のように詳しく強度の検証や車両の大きさやスピードをベースにした耐久性などを分析&検証した内容は少ないと思います。
近年、各国で起こっているさまざまなラミング・アッタク・テロ(車両暴走による無差別大量テロ)に備えて、日本でも大規模スポーツイベントやコンサート、歩行者天国などの警備において、十分と言えるほどの強度を持った車両バリケードを備える必要があると思います。
もし、SNSやブログなどで、車両暴走による無差別大量テロを起こすというような書き込みを見たら、すぐに最寄りの警察に連絡して下さい。
これからの市町村のマスタープラン上に警備や防災の視点で、公共物が設計され、安全なまちづくりが成されることで多くの人命が救われますように。
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