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乳幼児突然死症候群(SIDS)について

乳幼児突然死症候群(SIDS)について

昨日、地域の保育園の先生方向けの応急救護法の指導に行きました。
内容は、乳児・幼児のCPR、アナフィラキシーショックの対応法、
そして、乳幼児突然死症候群の予防法などでした。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症は年々減少傾向にはありますが、厚生労働省の統計データでは、毎年、約150人前後は亡くなっているようです。平成24年には全国で152人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっており、乳児(0歳)の死亡原因の第3位となっています。

 

また、厚生労働省の統計データによると、乳幼児突然死症候群(SIDS)になりやすい赤ちゃんは次のとおりです。

・女の子より男の子
・夏より冬
・第一子より第二子

■乳幼児突然死症候群(SIDS)とは:

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、英語で「ゆりかごの死」という意味でコット・デス(cot death)、クリブ・デス(crib death)ともいう。それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気です。

それまで元気だった赤ちゃんが事故や窒息ではなく、眠っている問に突然死亡してしまう病気です。そのほとんどが1歳未満の乳児期の赤ちゃんに起きています。特に2ヶ月から6ヶ月の赤ちゃんに多いと言われています。

厚生労働省は下記の内容を公表しています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因はまだよくわかっていませんが、
男児、早産児、低出生体重児、冬季、早朝から午前中に多いことや、うつぶせ寝や両親の喫煙、人工栄養児で多いことが、平成9年度厚生省心身障害研究「乳幼児死亡の防止に関する研究(主任研究者:田中哲郎)」(以下「平成9年度研究)と言う。)で分かっています。

特に「育児環境」の中に乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率を高める因子があることが明らかになってきました。下記の4つの項目に気をつけると、未然に防げる確率が高くなると言われています。

以下のような育児習慣等に留意することで、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症リスクの低減が期待されていますが、これらはいずれも 乳幼児突然死症候群(SIDS)の直接の原因ではありませんので、必要以上に不安に思う必要はありません。日頃の子育てを再確認していただき、あとはおおらかな気持ちで子育てをしましょう。

(1) うつぶせ寝は避ける
うつぶせに寝かせたときの方が、あおむけ寝の場合に比べて乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が高いと報告されています 。うつぶせ寝が 乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こすものではありませんが、医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせるようにしましょう。

また、なるべく赤ちゃんを一人にしないことや、寝かせ方に対する配慮をすること は、窒息や誤飲、けがなどの事故を未然に防ぐことになります。

(※)平成9年度研究では、乳幼児突然死症候群(SIDS)児の異常発見時の体位は、うつぶせが47.7%、あおむけが39.0%で、SIDS児では対照児より、寝返りが自由にできず、寝方を自身でほとんど変えなかった。

(2) たばこはやめる
たばこは、 乳幼児突然死症候群(SIDS)発生の大きな危険因子です。平成9年度研究では、両親が喫煙する場合、両親が喫煙しない場合の約4.7倍、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が高いと報告されています。妊娠中の喫煙は、おなかの赤ちゃんの体重が増えにくくなりますし、呼吸中枢にもよくない影響を及ぼします。妊婦自身の喫煙はもちろんのこと、妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙もよくありません。これには身近な人の理解も大切ですので、日頃から喫煙者に協力を求めましょう。
その他で、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高めるとされている因子としては、マリファナ・麻薬・低体重出生などが指摘されている。

(3) できるだけ母乳で育てましょう
母乳で育てられている赤ちゃんは、人工乳(粉ミルク)で育てられている赤ちゃんと比べて乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症率が低いと報告されています。 人工乳が乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こすわけではありませんが、 赤ちゃんが、喜んで飲み、体重が順調に増えているなら、できるだけ 母乳を与えましょう。

(4) 赤ちゃんを温めすぎない
冬になるとどうしても親心から部屋を暖めすぎたり、厚着をさせたり、布団を掛けすぎてしまったりしがちです。ですが、大人の着せすぎが、赤ちゃんを高体温にしてしまい、それが乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こす原因となっている可能性が指摘されています。赤ちゃんの体温が上がりすぎないよう、うつぶせ寝と着せすぎをやめ、通気性や吸湿性の悪い衣服を着せたり、不要な靴下や帽子を着せることは絶対にやめましょう。

それから、ご両親、特にお母さんが赤ちゃんと一緒にいる時間が長いと思いますが、ほとんどの保育園が行っている乳幼児突然死症候群(SIDS)予防のためのルールが参考になるかもしれません。

【保育園が行っている乳幼児突然死症候群(SIDS)予防措置】
・赤ちゃんを1人にしません
・口に入るような小さいおもちゃや異物を乳児の周りに置きません
・環境変化によるストレスを与えないようにします
・担当保育士が見守り、赤ちゃんのようすを定期的(最低5分に一度)に観察します。
・敷き布団は固く通気性のよいものを使っています。
・枕は使いません。
・ベッドのまわりには、ひもやタオルなど、危険なものは置きません
・部屋を暖めすぎたり、厚着をさせたりはしません
・定期的に健康診断を行い、子どもさんの発達のようすを把握していきます。
・ご希望の方に対して冷凍母乳をお預かりします
・保育士全員が、6が月に一度、乳児用CPR、AEDや酸素の使い方もを訓練します
・保育士全員が、119通報時に必要な園の住所や周囲の目標建物など、救急車が迅速に到着できるための情報を知っています
・保育士全員が園医のコンタクト情報を知っています

なお、保育園で起こる乳幼児突然死症候群(SIDS)による乳児の死亡は、入園期の4月、5月に多いそうです。これは、自宅とは違う環境から来るストレスも一つの原因だと考えられています。

■呼吸が止まっているときの応急処置について:

1、まず、無呼吸に気がついたら、呼びかけながら抱き上げ、背中や足の裏を叩いて刺激してみる。
2、反応が無ければ、直ちに119番通報を行う。もし、自分一人の場合は、携帯をスピーカーモードにしておくと、自分の両手を使いながら、救急指令センターからも必要なアドバイスなどを受けることができる。
3、近くに誰かが居たらAEDを持ってきてもらう。また、道路に出て、救急車の誘導を手伝ってもらう。
4、心肺蘇生法を開始。
5、救急車が到着するまで続ける。

もし、園医が近くに居る場合は、119通報後に連絡する。ただし、救急車の要請を優先すること。

■↓乳児に対する心肺蘇生

■↓ 乳幼児突然死症候群(SIDS)予防:普及啓発用ポスター
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/sids_poster_01.pdf

乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生を少なくするためには
保育園側と乳児のご両親やたまに面倒を見られるおじいちゃんやおばあちゃんなどが協力して安全な育児に取り組む姿勢が必要となってくると思います。

もし、乳幼児突然死症候群(SIDS)で赤ちゃんを亡くされたお母さん、そして、預かっていた乳児が亡くなった場合は担当保育士はその深い悲しみに加え、自分の過失ではないかという自責の念にかられ、さらにメディアや周囲から非難の目を向けられるため、三重の責め苦を受けて悩むケースも少なくありません。

乳幼児突然死症候群(SIDS)は親や保育士が愛情を持って育てても
起こりうる病気であることを関係者がお互いに理解しておく必要があります。

日本防災教育訓練センターでは、保育園や幼稚園で起こりそうな事故予防、災害対応、事故心理ケア(トラウマ予防)、職員行動シュミレーション、ADBCP(災害後のビジネス継続プラン)、呼吸が止まっているときの応急処置などのワークショップを行っております。

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