アナフィラキシーショック予防と対策について

アナフィラキシーショック事故予防と対策について

先日、沖縄土産にいただいた、サトウキビジュースを飲んだところ、5分ほどして、頭がかゆくなり、その後、顔や上半身にかゆみと発疹がでてしまい、53歳にして、サトウキビアレルギーであることがわかりました。

今回、幸いにも強い食物アレルギーを起こさず、アナフィラキシーショックまでの発症に至らなかったですが、これから、今までに食べたことがない、新しい飲食物を摂取するときには、慎重に、かつ、ゆっくりと行いたいと思います。

特に海外旅行中に、未知のモノを摂取するときには、注意が必要だなと思いました。

それから、同じアナフィラキシーでも怖いのは、ハチ毒によるアナフィラキシーショックです。

初夏から9月下旬くらいにかけて、日本では年間20〜40人程度、多い年では70人以上のアナフィラキシーショックによる死亡者が出ています。

今日は、これからの季節で危険性の高い、ハチ(特にスズメバチとアシナガバチ)によるアナフィラキシーショックの予防について書きます。

1、蜂が近づいてきたら、速やかに危険区域から遠ざかること。

・蜂は、無差別に人に攻撃をしかけるわけではありません。
スズメバチの攻撃は、次の4段階に分けられます。

①巣に接近する人に対する警戒:
巣の出入口や表面にいる蜂は、人や動物を注視する一方で、一部は巣を離れて周囲を飛び回ります。

②巣に接近する人に対する威嚇:
警戒していた蜂が高い羽音を発して飛び回ります。オオスズメバチは、大顎を噛み合わせ、空中でカチカチという威嚇音を発します。

③巣に間接的刺激を与えたときの攻撃:
蜂の威嚇を無視したり、これに気がつかないとき、また、巣に振動を与えたとき等は、巣内から多くの蜂が飛び出して大騒ぎとなります。

④巣に直接的刺激を与えたときの攻撃:
巣を直接に刺激したり、巣を破損した場合は、入口にいた蜂とともに、巣内から多くの蜂が一斉に巣の外へ飛び出してきて、文字通り、「ハチの巣をつついた騒ぎ」になります。興奮の激しいときは、相手の体に噛みつき、何度も毒針を突き立てます。

2、蜂は黒地の着衣、毛皮等は、巣の近くでは攻撃を受けやすいので、蜂を刺激するような衣類、匂い等は避けること。

①蜂は黒い物にもっとも激しく反応し、攻撃を加えます。ただし、ミツバチは、色にはあまり反応しません。

②蜂は衣類だけでなく、黒い長靴、カメラ等も攻撃します。

③蜂はヘアスプレー、ヘアトニック、香水等の化粧品、体臭等に対して、敏感に反応します。特にミツバチは、巣の近くに関係なく、各種化粧品の匂いに興奮をすることがあります。

④野外でジュースを飲むときも蜂に注意します。ジュースや飲料水の残りの液をえさにしているスズメバチを多く見受けます。飲んでいるとき、近寄って来て缶の中にもぐり込み、口や唇を刺されることがあります。

出典:蜂刺され災害を防ごう され災害を防ごう!林業・木材製造業労働災害防止協会
http://www.rinsaibou.or.jp/cont02/items16/pdf/20hachi_reaf.pdf

■↓蜂毒アレルギーへの対策
http://allergy72.jp/bee-allergy/prevention.html

3、アナフィラキシーとは:

アナフィラキシーとは、重篤で生命に危険を及ぼす全身性のアレルギー反応で、食物アレルギーによるものが、一般的にはよく知られていますが、血清によるアレルギー、薬物によるアレルギーが原因で、突然に皮膚や呼吸器など複数の即時型アレルギー症状が出現する状態になることもあります。

アナフィラキシーが重篤な状態の場合は、血圧が低下し、意識の状態も低下を認めたりするアナフィラキシーショックと呼ばれる生命に関わる状態に陥ることもあり、「アナフィラキシー補助治療剤 – アドレナリン自己注射薬 エピペン」を適正に使用できる人による早急な処置が必要です。

4、アナフィラキシーショックの原因

日常生活の中でアナフィラキシーが生じる主な原因としては、食物、薬物、ハチなどの昆虫毒、ラテックスなどが挙げられます。

またアナフィラキシーの経験がある、もしくは危険性が高い人に対する対応としては、まずは発症させないという「予防」が最も重要です。

そのためには、日常生活の中で対象となる人がどのようなアレルギーの疾患を持っているか、どのような症状が出現するのかなどの情報の把握が必要となります。

食物アレルギーは、食物によって免疫学的な機序を介して引き起こし、ヒトに不利益な症状を起こす現象のことです。わが国の3大原因としては、鶏卵、牛乳、小麦であり、続いて甲殻類、果物類、ソバ類、ピーナッツ類の順となっています。

年齢別では、幼児期では鶏卵、牛乳、小麦が原因として多いですが、年齢とともに変化し、学童期では甲殻類や果物類が増えるようになっています。

アナフィラキシーを生じる食物アレルギーとしては、小児期ではピーナッツによる頻度が高いとの報告があります。

5、アナフィラキシーショックの徴候と症状:

■皮膚粘膜の症状:
・身体の皮膚が痒い
・赤くなっている
・蕁麻疹が出ている
・口唇、顔面、首、咽喉などが腫れている
・口の中が痒い

■呼吸器の症状:
・喉が痒い
・咳が出る
・呼吸がしづらい
・ゼーゼーする

■その他の症状:
・多尿
・低血圧
・脳炎
・失神
・意識不明
・流涙(血管性浮腫やストレスによる)
・嘔吐
・掻痒
・下痢
・腹痛
・不安

ただ、上記以外にも、どのような症状が出現するのか、出現までの時間や重症度などは、個人差があり、またアナフィラキシーの原因に左右されることもあるため、決して画一的なものではありません。

アナフィラキシーショックの一般的に最も多い症状としては、蕁麻疹(じんましん)、発赤(ほっせき)、掻痒感(そうようかん)などの皮膚・粘膜症状で、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛)が続き、多彩な症状を認めます。

犬や猫などのペットや馬や牛、豚なども食物アレルギーやハチ毒で、人間と同じようにアナフィラキシーショックの症状が出ることがあります。

6、アナフィラキシーショックの予防

アナフィラキシーショックは、早期発見と迅速な対応ができれば、ほとんどのケースにおいて大事には至らない病態ですので、それぞれの企業や事業所、教育施設、事業所での状況に合わせた予防はもちろん、対策マニュアルなどの作成をしておくと、施設内で、アナフィラキシーショックが起こった際に適切な処置を行えると思います。

7、エピペンを投与できる人

救急救命士、保育園、幼稚園、学校の教職員においてはアドレナリン自己注射器に対する知識とその適切な使用方法を十分に理解しておく必要があるとして、エピペンを投与できるため講習会を受けていることが多いです。

また、会社の従業員や自然観察指導員、俳句の吟行会などの主催者や参加者などの一般人が、アナフィラキシーを起こす可能性の高い人、既往のある人または発現する危険性の高い人の常備しているエピペンを本人が発症の際に医療機関へ搬送されるまでの症状悪化防止に使うことは、「違法性の阻却行為(そきゃくこうい)の緊急避難行為」に当たるため、違法にはなりません。

※「アナフィラキシーショックを起こし、エピペンを自ら注射できない状況にある人等に代わり、その場に居合わせた人がエピペンを注射することは、「違法性の阻却行為(そきゃくこうい)の緊急避難」であり、また、医療行為を反復継続する意図がないものと認められるため、医師法違反にはならないと考えられます。同時に、人命救助の観点からやむをえず行った行為であると認められれば、刑法や民法等の規定により、その責任は問われないものと考えられます。

※緊急避難(民法720条2項) – 他人の物より生じた急迫の危難から、自己または第三者の権利を守るために、その物に対して行った行為

8、エピペンの使用法について

アナフィラキシーショックが出たら、太ももの前外側へ筋注する。緊急時は衣服の上からでもよい。また1本のエピペンは1回分のみで、たとえ注射液が残ってもそれは使えない。使用量は体重1 kgあたり0.01 mgである。

アナフィラキシーが起こった場合、最良の条件でも救急車の到着と病院への搬送を待てない場合が多く、「迷わず」即座に注射することが大事だとされている。

あくまで緊急用であり、効果は10-15分しか続かず、注射後にそのまま放置すれば症状がぶり返すことが考えられる。

アナフィラキシーは日常生活の中でも遭遇することがあり、また重篤な状態にもなりえるため、日頃から正しい理解と心構えを持っておくことが重要です。

出典:
■↓食物アレルギーについて
http://okayama-eiyo.or.jp/rink/syokumotuarerugiytokyoto.pdf

■↓保育所におけるアレルギー対応ガイドラインQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku04.pdf

■↓エピペン:教職員・保育士・救急救命士の皆様のためのページ
http://www.epipen.jp/attention-teacher.html

■↓アナフィラキシーショックの症状・対処療法から注意事項までのまとめ
http://t-meister.jp/hachi/lab/anaphylaxis/

事前に会社や通勤の動線に近い、アナフィラキシーショック
対応医療機関を知っておくといいですね。

■↓アナフィラキシーショック対応医療機関検索
http://standard.navitime.biz/anaphylaxis/Index.act

9、これからの課題

2020年の東京オリンピック期間中の外国人来場者数は延べ約1000万人と云われています。

このうち、食物アレルギーを持つ人は、約40名に1人以上といわれていて、
過去のオリンピック大会でも、来訪者や選手が食物アレルギーで救急搬送され、食材表示が問題になったそうです。

2020年の東京オリンピックまであと5年、食物アレルギーによるアナフィラキシーショック予防に「食材ピクト」を都内の飲食店に導入するよう、また、先延ばしになっている「飲食店内での全面禁煙」を都条例で制定して欲しいと思います。

■↓NPO法人インターナショクナル:食材ピクト
http://foodpicto.sakura.ne.jp/foodpicto/products.html

それから、都内ではAEDの設置箇所が増えていますが、できれば、各AEDの中にエピペンを備えることで、アナフィラキシーショック予防を強化していただきたいと思います。

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