■率先避難について
堤防の決壊や河川の状況などは、何度も報道されているので、ここでは住民避難について考えてみた。 今回、家族や家を失ったり、被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げたい。
ただ、さまざまな災害報道番組を見ていて、防災教育指導者として、気づいたことを書いてみた。決して、逃げ遅れた方々を避難するつもりはない。今後の災害避難情報として受け止めていただきたい。
1、自助力不足
今回のような災害時、行政の避難指示を待たなくても、自ら行動に移せる国民を増やす必要を感じた。
ニュース報道の中で災害情報が聞こえなかったという一部の被災者のコメントがあったが、大雨や濁流のゴォ〜ッいう音の中で、市区町村からの避難警報や放送が聞こえること自体が難しいことは災害時の環境を考えればわかる。
もちろん、これからもっと、行政側の避難施策は工夫や改善が必要だと思うが、行政側の対応を待たず、住民側も自ら早めに避難する必要があるのではないだろうか?
ニュース報道を見ていて感じた、「率先避難」についての疑問。。
・停電前のネットも、テレビ、携帯電話、固定電話も使える状態だったときに、避難を判断するための災害情報を自ら求めたのか?
平成27年9月7日16時30分に、台風第18号に関する情報 第2号が気象庁予報部から公式発表されていた。
■↓平成27年 台風第18号に関する情報 第2号
http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/000_00_662_20150907073102.html
■↓平成27年 台風第18号に関する栃木県気象情報 第1号
http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/316_02_615_20150908025521.html
平成27年9月8日11時55分 宇都宮地方気象台発表 「台風第18号と前線の影響で、栃木県では9日から10日にかけて大雨となる見込みです。土砂災害や河川の増水、低い土地の浸水、落雷、竜巻などの激しい突風に注意してください。」と9月8日に発表されている。 また、NHKなどのニュースでも7日から繰り返し、注意を促していた。
■↓時系列で台風第18号に関する気象情報がわかる。
http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/316_index.html
・目の前の水位が膝くらいまで来ているのに、なぜ、逃げなかったのか?
・堤防が決壊しなくても、決壊を怖れて早めに逃げるべきでは無かったのか?
・なぜ、停電以前の普通生活状態で住民自ら避難情報を求めてこなかったのか?
・近所や友達の行動を見て、自分の行動を決めるのではなく、正確性のある公的な災害情報を受け入れて、もっと早めに判断し、行動に移すなど危機対応を身につけるべきではないだろうか?
・日頃から、真剣に避難訓練に参加したり、自分の避難計画を作ったり、住民自ら助かろうとするべきではないだろうか?
自分の災害時の行動判断の参考になるような、過去に起こった風水害、地震、噴火、テロなど、ありとあらゆる災害のニュースの映像など、たくさん検証したり、対策を学べる資料はネット上に数千以上もある。
2、行政側への責任追及や対応の指摘について
避難が遅れたことを簡単に行政の責任にするべきではないのでは!?
ある番組の災害映像の中で行政の避難指示が遅かったとインタビューに答えていた被災者の人が居たが、行政の対応問題をクローズアップし、答えるようにインタビュー側の誘導質問のような意図を感じた。 行政担当者も被災者で有り、厳しい環境のなかで、自分の家族の安否や心配もしながら、住民対応を可能な限り行っていることにもっと気づいて欲しい。
こういう災害のニュースや報道では、行政担当者の対応のあら探しが執拗に行われるが、内部事情を知っている立場として、見ていてツライ。
報道番組や新聞紙面の視聴者よりのテーマを成り立たせるために、また、視聴者が共感するようなドラマ的なシナリオを作るために、国や県、市区町村の防災施策のミスや担当者の落ち度などを指摘するのは簡単だが、なぜ、間に合わなくなるまで避難しなかった方々のことを問題視したり、逃げなかった理由を検証しないのはなぜか?
気象庁からの気象災害予報が48時間以上も前から、何度も繰り返し発表され、十分に避難する時間が合ったにもかかわらず、なぜ、避難しなかったのか?それも弱者ならわかるが、健常者でも避難しなかった人が多いように感じる。
逃げられる人が逃げていれば、本当に助け無ければならない人を優先して助けられる。また、行政機能出動の出費も抑えられる。 救急車の適正利用に通じるような気がする。行政機能を適正利用するのは国民のマナーだと思う。消防、警察、自衛隊の出動費用はタダではない! 健常者であれば、助けられずに済むことがマナーだと受け止めて欲しい。 災害時の緊急行政機能は、災害弱者に使われるべきだと思う。
今回のような風水害は、日本全国どこでも起きる可能性がある。 普段から、自ら正確な情報を得る手段を何通りか知っておき、また、ラジオやPHS電話、懐中電灯、救命胴衣、または、浮力体の代わりになるモノなど、最低限の災害対応準備をしておくことは国民にとって当たり前の責任だと思う。
3、災害準備対応情報について
台風19号、20号、21号などの災害に備えて、みなさんの災害準備対応情報に役立つと思われるリンクをご紹介させていただく。
①日本で一番、災害情報提供が早く、また、現場映像の種類が多いのはNHK。
http://www3.nhk.or.jp/weather/
②ネット上で映像を一時停止したり、巻き戻して被災状況や被災予測をするには、国土地理院動画チャンネルも便利。ただし少し時間が掛かる。
■↓国土地理院動画チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCJY_QJ1IuHO8j_WvPqNEK6g
③広域な地図情報、現場の画像など、幅広く情報を得られるサイト
■↓Google クライシスレスポンス
http://www.google.org/crisisresponse/japan
■↓災害情報マップ
http://www.google.org/crisisresponse/japan/maps?hl=ja
4、台風や大雨に備えて
■↓普段からマナーとして反射&判断行動を身につけること
http://dil-opac.bosai.go.jp/publication/pdf/typhoon-l.pdf
5、自然災害を学ぶ
■↓日頃から、興味を持っておくこと。
http://dil.bosai.go.jp/workshop/
明治時代から、防災教育が行われていて、災害時の避難や準備については、ほぼ同じことを100年以上も伝えているのに国民に備わらないのはなぜだろう?といつも疑問に感じる。
長年、災害現場に出動してきて、人命救助活動に携わってきたが、助けられる側は、もっと、助ける側に協力できないかと思う。それも共助の一つではないだろうか?